現在世に出回っている屋久杉は、土埋木(どまいぼく)と生木(せいぼく)の2つに分けられます。
土埋木という言葉は馴染みがないかもしれません。楠やケヤキなどの木材で土中に埋まっていたものは、土埋木や神代(じんだい)と呼ばれています。ところが、屋久杉の場合は、江戸時代に伐採された屋久杉が搬出されず、そのまま土の上に放置された倒木を指します。使いやすい部分だけを年貢として納めていたので地上2m程度のところから伐採、大地にしっかりと根を張った切り株は使い道がなく放置されました。
その切り株は現在でも残っており、屋久島の自然休養林を散策すれば、苔に覆われ草木の生い茂った巨大な古い切り株をみることができ、屋久島の森に独特な景観を生み出しています。
今日では伐採も土埋木の競りも禁止されていますが、古典木工では多くの原木を大切に保管していました。